店舗用約10cmフルレンジスピーカー音質特性比較 Vol.24 分割振動について

スピーカー比較第24弾。
今回は分割振動についての考察です。
分割振動というのは、スピーカーのコーンの振動波がエッジで反射された波との干渉でおこるもので、生じると周波数特性に凹凸が生じ、高域になるほど音が打ち消しあい高域が出なくなります。
分割振動を起す周波数は、スピーカーの口径、振動板 の強度(剛性)などにより決まり、10cmだと理論上は1kHz以上の高音で生じます。
今回の各周波数特性を見てもらっても、1kHz以上になると周波数の波が小刻みに安定しなくなるのが一目瞭然だと思います。
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口径が大きくなればなるほど、コーンの素材が柔らかくなればなるほど、分割振動のおこる周波数は低くなっていきます。
マルチウェイスピーカーでは、例えばウーハーの分割振動領域の音をカットしスコーカーへ、スコーカーの分割振動の音をカットし、ツイーターへとうまく設計することができますが、フルレンジではそうもいきません。
ですので、この分割振動の歪が入った音を前提に各スピーカーのキャラクターがつけられているともいえます。
コーンの口径はほぼ同じですので、コーンの素材やエッジの素材などで各社工夫しているのでしょう。
今回の比較では、低域はバスレフポートの設計やユニットの最低共振周波数で比較的わかりやすく数値化できますが、この分割振動の歪音は数値で表すことがなかなか困難です。
そこで中域の周波数の乱れはポートからの付帯音、高域の周波数の乱れは分割振動による高調波の発生という非常に乱暴な仮説のもとに簡略化した説明をしています。
もちろん高調波は低域・中域でも発生していますし、原因も分割振動だけではないのですが、そこを掘り下げていくとスピーカーチューンをしていくことになってしまいますので、今回の趣旨とずれてしまいます。