JBL Control SB-2 修理&改造 その1

JBL Control1に続いて、サブウーハーのControl SB-2の修理と改造です。
修理はエンクロージャーに貼られたウレタンとエッジの交換です。
知り合いから預かったものですが、しばらく鳴らしていなかったらしく、経年劣化で動かすだけでボロボロ崩れていきます。
Control-SB-2
改造は、Control1にマッチするように低音を調整して欲しいとのことでした。
修理は手はず通り進めるとして、改造の方は難儀しそうです。
テストベッドにしてもよいということでしたので、いろいろやってみようと思います。

基本的にはControl SB-2というウーハーは設置用に作られています。
ピュアオーディオ的な使い方で音のつながりを厳密に調整できるような設計にはなっていません。
JBLでマッチングするスピーカーの組み合わせはControl23となっています。
Control23の周波数レンジは85Hz~22kHzで、Control1は70Hz~22kHzです。
インピーダンスも違いC23は8オーム、C1は6オームです。
まずはSB-2のスペックから調べます。
入力は340Wもありますし、能率も100dBです。
一般家庭で使うような出力ではありません。
最終的にはパワーアンプを内蔵しようかと思っていますが、能率が100dBだとすると30Wもあれば十分でしょう。
通常試聴だと10Wも入れておけば地震と勘違いされるかと思いますw
次に一番重要なローカットフィルターです。
カタログには2種類書かれています。
ローパス回路の12dB/oct、160Hzとアコースティックフィルター6dB/oct、80Hzです。
アコースティックフィルターということは電気的なフィルターではないということでしょう。
確かに現物を見るとユニットは見えておらず、バスレフポートだけが露出していますので、ケルトン型(バンドパス型)でしょうか。
サイトにもロード・バッフル/バンドパス設計と書いてあります。
しかしロード・バッフルとは聞いたことのない言葉です。
おそらくですがエンクロージャーの形が台形をしているので、これをホーンロードに見立ててロード・バッフルと言っているのではと思います。

ところがユニットを外そうと分解してみたところ、さらなる疑問が。


通常のケルトン型はユニットの後ろの箱は密閉されているものですが、このSB-2はユニットの向きが逆なのはいいとしても、密閉型にはなっていません。
参考ページ
両側面がウレタンスポンジで閉じられてはいますが、低音は通りぬけてでてきます。
通常はサランネットになっている部分が板でできており、バスレフポート部分には穴が開いており天地は閉じられているという形です。
普通ユニットが取り付けられている面をバッフルといいますが、このフタをバッフルと考えれば、音の通る道があるバッフル、つまりロード・バッフルということになるのかもしれません。
とするとボーズのアクースティマスのように両方にポートがある設計なんでしょう。
SB-2だとポートとスリットですが、とりあえず容積計算をしてポートの共振周波数を計算してみます。
ユニット背面は空気室の容量が約24リットル。
ポート長が約10cm、直径が7cmなので、共振周波数は61Hzとなりました。
ユニット正面の容積は5.56リットルありますが、密閉されていないため、スリットはほぼ空気抜き。
両サイドの穴をふさいでいるウレタン部分をスリットだと考えても、3cm×5cm×34cmのスリットが左右なので、200Hzになります。
これで効果があるんでしょうか、今一釈然としません。
ところがネットで見つけた本国の仕様書を見てびっくりです。
そこに周波数特性がのっていたのですが、200Hzにバスレフポートの効果らしい山があります。
ローパスフィルターで信号は160Hzでカットしておきながらここに山をつくるとは。
おそらく160Hzカットの理由は、このユニット自体の分割振動領域に入ってしまうからでしょう。
12dB/octでスパッと落としています。
しかしそれでは音の落ち方が不自然で、つながりをよくするためにこのようなバスレフ設定になっているのかもしれません。
ちなみにユニット自体は227Hという型番でF0は34Hzになっています。
もう一つ考えられるのは、位相の反転を抑えるためですかね。160Hz以上の音は位相が反転してしまうので、バスレフからの音をメインにしているとかくらいですか。

一番得意とするところは、80Hz位です。
仕様書にはインピーダンス特性ものっており、それを見ると低域用ウーハーらしく、谷が二つあります。
90Hzと40Hzですね。
この間の山を補完するようにバスレフの共振周波数が設定されているのでしょう。


ともかくフロントのフタで80dBから上の音は徐々にカットしているわけですから、このサブウーハーをバランスよくいじるのは至難の業かもしれません。