スピーカー比較第21弾。
いよいろ試聴編です。
まずはBOSE101MMGの周波数特性を測定してみましょう。
その前にファーストインプレッション。
すべてのスピーカーは中古での購入ですので、音だし確認をしています。
その時の印象を先にお話しします。
といってもBOSEはこれまでも何回も使用してきたスピーカーですので、ファーストインプレッションと言うのはおかしいのですが、とにかく元気に鳴るスピーカーだという印象です。
またガンガン鳴らしても音が崩れることがなく、同じ印象で鳴ります。
それにどんなソースを流しても同じ印象で鳴るような気がしますw
では、サインスイープを見てみましょう。
まずこれは全体を通してのことなのですが、低域は35Hz以下は全く当てになりません。
高域は15kHz以上が測定するたびに大きくかわります。
そこをのぞいて見てみると、すぐ気付くのは1.4kHz付近からの落ち込みと7kHz付近と10kHz過ぎの大きな谷です。
サランネットを外したり、マイクの角度を変えたりとやってみたのですが、変わりませんでした。
耳で聞いていてもわかるほど、はっきりと減衰します。
エンクロージャーが原因ではないかと思い、上からに重しをのせてみました。
といっても、手近にあった他のスピーカーですが。
ちょっと谷が浅くなりました。
次はポートに手近にあった紙おしぼりをほわっと丸めて入れてみました。
測定結果を見て下さい。
見事に谷は消えましたが、今度は山がw
合成波が強くなりました。
この辺りの加減が難しいところですが、他の周波数帯でも全域にわたってフラットになっているので、やはりポートの付帯音のコントロールがチューニングの鍵になりますね。
これで原因がポートから出ている雑音だということがわかりましたので、ポートからの音を測定してみます。
見事に1.4kHz付近からポートの音がのっています。
この音の位相が逆のために1.4kHz付近からの音は安定しないのでしょう。
クオンサウンドの定番チューンは、ポートに薄いスポンジをつめたり、定在波を減らすためエンクロージャーの壁に薄い凸凹スポンジを貼ったりします。
反射波がポートから漏れ出る音とポート自身の共鳴もあるでしょうから、ポート形状を変えない限り撲滅は難しいのではないかと思います。
10kHz過ぎの谷は少しマシにはなりましたが、まだ改善されていないので、これはポートの入り口にスリットを入れるなどの工夫が必要かも。
BOSE自身もこのことには気づいていたようで、BOSE111ではポートの形が変わっています。
さて周波数から見る特性は決してよくありませんが、出てくる音は独特のBOSEサウンドです。
ポートをチューニングすれば、全体としてはフラットでクセのない感じにはなるのですが、BOSEらしさも薄れていきます。
音については、試聴で詳しく説明するとして、まず低域でバスレフポートの設定周波数は60Hzから70Hzくらいでしょうか。
以下はダラ下がりです。
特に無理して低音を押し出している感はありません。
ちなみにダクトの実測値(直径3.1cm、長さ9cm)からの共振周波数は64dBです。
倍音に関しては50Hzを入れた時に、100Hzも同時に音圧アップします。
150Hzが大きくなるスピーカーが多い中で、こういう設計が低音の量感アップにつながっているかなと思いますが、逆に耳の肥えた人にはバスレフ臭い音と感じられるかもしれません。
高調波歪みを測定して見たら、2次、3次ともにかなりのレベルで出ています。特に5kHzを超えると3次波がどんどん大きくなり、7kHzあたりがひどくて基音-30dBくらいです。
これがポートノイズをおさえた時に合成波の山を作ったのでしょう。
原因は振動版の分割振動かなー。
中音に関してはフラットというよりネットワークでかなり抑えこまれている感じです。
音を大きくすると目立ちませんが、小さい音だとあからさまに中域が落ちている気がします。
その1でもふれましたが、101にはパッシブネットワーク(ネットワークというよりイコライザーですね)が入っています。
コイルで低域をコンデンサーで高域をバイパスさせ、抵抗で中域を低下させています。
結構、パワーを入れないと、抵抗が効きすぎている感じです。
101は小音量でもいけると言われていますが、それって相対的に低音や高音が目立つように作ってあるからなのかもしれません。
ロックやポップスなら問題ないと思います。
音量アップでフラット、小音量でラウドネスといった感じでしょうか。
※注 今回のスピーカーが中域メインのフルレンジ中心だったため、私の耳が偏っていた可能性は否定できません。
高域に関しては、2ウェイのROCK SOLIDに比べれば低調です。
10kHz以上の高音に関しては、測定がうまく行っていると仮定すれば、ピークを11kHzくらいに持ってきています。
この周波数はちょうどハイハットのシャリシャリする音域にあたるんじゃないでしょうか。
J-POPやROCKを聞くにあたっては、高音を演出しやすいチューニングになっていると考えられます。
最後にアンプのボリュームレベルですが、-6dBでした。
ちなみにROCK SOLIDも同様に-6dBです。
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